【まだらの少女】井口昇監督インタビュー(2)

井口昇監督インタビュー(1)からの続き
井口昇監督
蛙の唐揚げを賞味する井口監督
――原作にはない部分ということで、京子と弓子が仲良くなっていく過程が説明の付く形で描かれていてうまいと思いました。
井口:たぶん、僕も小中さんも少女趣味なんですよ。いかに女の子達が仲良くなっていくかとか、楳図先生の少女漫画時代のセリフのような言葉でしゃべっているっていうことにカタルシスを感じるところに僕と小中さんの共通項があったので、その点はうまくいったと思います。
――インターネットのシーンはリアルで怖かったですね。
井口:楳図先生から今回の映像化への要請として、『楳図メモ』が各作品に渡されたんです。『まだらの少女』は2点で、『インターネットを出す』『へびはうつる』がキーワードとして要請がきたんです。メモにそれだけ書いてあるんです。それで、『まだらの少女』の中にインターネットをどうやって含めるんだろうって、小中さんもすごく悩んだみたいですね。僕自身も絵にするときに楳図先生の質感を壊さずにインターネットをどう入れていくかというのは、考えましたね。でも、楳図先生すごいなと思いましたね。まだらの少女の中にインターネットを入れるというのは、普通の映像化を考える人はまず考えないだろうと思いましたから。
――中村有沙ちゃんの注射のシーンは苦悶の表情がよかったですね。
井口:やっぱそういうところにきますか!ありがたいですね。有沙ちゃんの芝居で一番粘ったのはあそこですよ。注射して痛がって、痛がり終わるまでを何テイクもやって、あそこだけ鬼監督になりましたね。普段は1テイクでOKってやってるんですけど、あそこだけ「もうちょい、唇を噛み締めるのをあと2秒長く」とかやってましたね。
――最後、有沙ちゃんは胸を撫で下ろすような表情をされてましたね。
井口:最後も、僕が「ふぅーっていう顔やって」とか、「薄く目を開けて」って、かなり細かく指導しました。とにかくまだらの少女で気をつけたのは、有沙ちゃんが怖がったり、苦しんだり、痛がったりする顔は全部アップで撮るっていう、それはポイントでしたね。そういう部分を有沙ちゃんファンがDVDで何度も観て楽しんでもらえるようにっていうのは、考えてましたね。
――そういうことを考えて撮るんですか?
井口:現場で、何を一番考えてたかって、そういうことでしたね。
――興行的なことも一方では考えてたんじゃないですか?
井口:まあ、そうですね。でも、楳図先生の漫画は、女の子が怖がったりする顔が印象的なので実写もちゃんとやるべきだというのがすごくあったんですよね。怯えたりする顔が特徴的じゃないですか。
井口昇監督インタビュー(3)へ続く・・・
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