【まだらの少女】井口昇監督インタビュー(1)

先日の渋谷ユーロスペースでの上映も大好評に終わり、「決定!Best of 『恐怖劇場』in Eurospace」の賞に輝いた『まだらの少女』の井口昇監督にUmezz.comがインタビューを敢行いたしました!楳図作品の大ファンでもある井口監督は、どのような思いで『まだらの少女』を撮影したのでしょうか?是非ご一読ください。
井口昇監督
――『まだらの少女』は、原作との忠実度が高くて、すごく面白かったです。
井口:ありがとうございます。やっぱり漫画を原作にした実写版って難しいじゃないですか。僕はそこで一番気にした点は、ファンの方が気を悪くしない作品、ファンの方でも納得できる作品にしないとまずいなっていうのが自分の中でありまして。まだらの少女は有名だし、名作じゃないですか。こりゃとんでもない作品をまかされたなと思って、これを成功させるにはどうすればいいんだろうってことを結構考えまして、プレッシャーでしたね。
――『まだらの少女』の実写化ということで、気をつけた部分はありますか?
井口:脚本の小中千昭さんも僕も向かってるのは、原作の絵と質感のニュアンスですね。女の子が蛇を見て、「あっ!」て、言ったりとか、あとこれ(ムンクの叫びのポーズ)ですよね。楳図さんの実写作品でこれをやったって少ないじゃないですか。やっぱり『楳図驚き』をやるべきだってことで。まずは、ストーリーうんぬんよりも、楳図先生の質感に似せるべきじゃないかなっていうのがありました。でもやっぱり難しかったのは、『まだらの少女』って3部作の真ん中の話で、50分の話にすると無理が出てくるんです。なので、オリジナルの要素を入れないと成立しないという内容だったのですが、それでいて楳図先生のテイストを残しつつ描かなくてはいけないという難関がありましたね。脚本の小中さんが一番その辺で悩まれたと思います。
――撮影期間は一週間だったんですか?
井口:そうです。でも時間がなかったですね。女の子たちが小学生なんで、朝6時集合の夜9時撮影終了ぐらいじゃないと、彼女たちの体力が追いつかないんですよ。しかも遠出なんですよ。東京から一時間半ぐらいの場所でロケだったんです。しかも、泊りじゃなかったんですよ。基本は、行って帰っての繰り返しだったんです。泊れる予算が無かったっていうことでね。
――成海璃子さんは、原作の京子に似てますよね。
井口:プロデューサーが楳図顔の人がいるって連れてきたんです。それで一目見たら、この子似てるなぁって思って、すぐに決めました。中村有沙ちゃんにしても、ある程度原作の顔に近い人を選んでますね。今の女の子ってなかなか楳図顔がいないんですよ。30人ぐらい見たんですけど、なかなか目がクリクリしてて、楳図さん風の顔の人はなかなか居なくて、その中では2人ともベストでしたけどね。
――マリ子役の鈴木理子ちゃんは、特に「クエー!」ってのけぞるシーンがよかったです。井口監督も映画秘宝で、「僕としては鈴木理子ちゃんがおすすめ」と仰っていましたね。
井口:あの子はやっぱりうまいんですよね。マリ子の役だけでも30人ぐらいオーディションしたんですけど、群を抜いてうまかったですね。目を開けたまま目の見えない芝居とか微妙なところがダントツに上手かったですね。単純にかわいいし、現場でも人気高かったですよ。
――理子ちゃんは、小学校2年生ぐらいですか?
井口:8歳でしたよ。去年の11月に撮ったんですけど、あのときの成海璃子ちゃんと鈴木理子ちゃんだと4歳しか違わないんですよ。女の子って4歳でこんなに変わるんだって、そこがびっくりしましたけどね。
井口昇監督インタビュー(2)へ続く・・・
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