鶴田法男監督インタビュー(後編)

映画『おろち』(原作=楳図かずお)の撮影現場におじゃまして、鶴田法男監督にインタビューをさせていただきました!今回は、「鶴田法男監督インタビュー(前編)」からのつづきです。
鶴田法男監督とインタビュアーの金子デメリン
鶴田法男監督とインタビュアーの金子デメリン
–『おろち』を監督することが決定した時はいかがでしたか?
鶴田:原作『おろち』は40年も昔のもので、幾度か実写化が検討されたらしいんですが実現に至らなかったんです。そこへ来て、僕が初めて撮らせていただくことになったということで、感無量です。感激しています。
–それはいつ頃の話ですか?
鶴田:僕が正式なオファーをいただいたのは、去年の11月くらいでしたが、東映ビデオの佐藤現プロデューサーとか脚本家の高橋洋さんとかはその2年くらい前から脚本を練っていました。高橋さんの脚本の初校ができている段階で、監督として参加することが決まりました。
–おろち役のキャスティングについてうかがえますか?
鶴田:「おろち」というキャラクターは40年もの昔から非常に多くの方が親しんでいるものですよね。当初、いろいろな方がおろち役の候補として上がったんですけど。原作『おろち』のイメージをくずさないようにしないといけない。また、今現在大スターである方をキャスティングしてしまうと「おろち」のキャラクターが薄くなってしまう。映画を観てくださる方が、見た瞬間に「あ、この人がおろちなんだ~」と思ってくれるキャスティングにしたい。そう考えていくと、今売れっ子でみなさんに顔が知られている人よりも、これから先が期待できる女優さんにお願いするのが一番いいんじゃないかと。ということで、谷村美月さんにお願いすることになりました。今は、谷村が「おろち」というものにとてもフィットしていると思っています。
–原作『おろち』の中では「おろち」は傍観者ですが、そのあたりはいかがですか?
鶴田:普通のドラマであるならば、主人公が物語に深く関わっていって物語が成立しているんだけど、『おろち』の場合は、主人公「おろち」は何もしないというか、ただ見ているだけなんですよね。起こっている事柄に対し彼女が関わるということが基本的に許されないわけです。だから、映画『おろち』を普通の考え方でつくろうとすると、釈然としない部分があって。「それでいいんだ」とつくり手の我々が納得するまでにけっこう時間がかかりましたね。そこが非常に難しかったです。
–楳図かずおからは何か意見や要望がありましたか?
鶴田:僕が関わった時にはすでに初稿ができており楳図先生のほうへお話が通っていた段階でした。なので、僕が先生とお話しした時にはこれといって意見はなかったですね。僕が「楳図先生の画風は独特ですが、それを意識したほうがいいですか?」と訊いたら、先生は「いや、そんなに気にしなくていいです」と言ってくださったので、じゃあ映画は映画として鶴田なりにつくればいいのかな、と。ですから、楳図作品であることを強く意識しすぎずにつくらせていただいています。
–見どころは?
鶴田:「見どころ」というか…僕が不安に思っているのは、まず、おろちの容貌ですね。原作ではおろちは髪の毛が赤いですが、実写で髪の毛が赤い人が出てくると、あまりにも違和感がある(笑)。そこで、映画『おろち』では髪の毛は黒くして、その代わり服を赤いものにするということにしたんです。それと、靴を特徴のあるものにしてあります。とにかく、原作とはちょっと違うイメージになっています。その部分に関して原作ファンの方にどう受け取られるかは、ちょっと心配ですが。それと、この作品は世界の映画マーケットにも売っていくということなので、物語の舞台となる「家」のつくりを変えてあります。楳図先生の漫画だと見るからにいかにも洋館なんだけど、日本映画であることを考えると、世界の人が観る時には、日本的なものを取り入れたほうがおもしろがって観てくれるかな、ということで、和洋折衷な洋館になっています。そこは、ちょっと楳図先生の描く世界観とは異なりますので、どう受け取られるか不安ですね。が、「この作品は、原作はあるけれども、「『おろち』という映画」である」というふうに楽しんで観ていただければ、と思っていますので、どうぞよろしくお願いします!
鶴田法男 website:http://www.eizoh.jp/tsuruta/