劇団アロッタファジャイナ インタビュー(1)

劇団アロッタファジャイナによる舞台『わたしは真悟』(原作=楳図かずお)の公演が、2004年10月26日(火)から始まります。開演にさきがけ、Umezz.comが、杉並区内某所で稽古中の劇団アロッタファジャイナを取材いたしました!!
松枝佳紀さん
Umezz.com:まず、劇団アロッタファジャイナの主催者で、舞台『わたしは真悟』の脚本・演出を手がける松枝佳紀さんにお話を伺います。初めてアロッタファジャイナの公演を観る人のために、アロッタファジャイナを紹介して下さいますか?
松枝:去年の11月にみんなを集めて、今まで、2ヶ月か3ヶ月に1本くらいやってきて、今まで3回やりました。今回4回目です。その前にもぼくは劇団をやっていたんですけど、東映で、『デビルマン』の監督助手をやって。で、それの企画段階に参加して、それ終わった後、バラされて。映像を経験したので、それを活かした舞台をつくりたいと思って。それでつくったのが『わたしは真悟』です。基本的には、「舞台は舞台」っていうイメージあるじゃないですか。それとは違って、映画っぽい舞台。もちろん舞台の良さも取り入れながら、映画っぽい舞台っていうのを。映像を使うっていう意味じゃないんですけど。例えば舞台展開の限界ってあるわけじゃないですか。パッパッパッパッパッとは展開できないと。でも、そういうのはできると、ぼくは思っていて。映画みたいな芝居をやりたい、ということですよね。
Umezz.com:アロッタファジャイナのメンバーの方々は、そういった趣旨に賛同して集まった人たちという感じですか?
松枝:「賛同して」かどうかは知らないけど(笑)。まぁ、たぶん、だいたいそうだと思います。役者はもっと…、そういう「趣旨」で来る人もいるけど、具体的なもので、肌合が合う、とか、そういうことじゃないですかね。
Umezz.com:当初から知り合いの方が集まったんですか?
松枝:いえ。公募です。1年前は、みんな全く知らない人で。でも、かなり頻繁にやってるんで、今はツーカーですね。
Umezz.com:けっこう短いスパンで公演を行っておられますよね。こんなに頻繁にできるものなんですね!
松枝:いや、それはもう、「ワ!」とやって、「ヤバい!今回はコケるわ!」っていうのが毎回で(笑)。今回の『わたしは真悟』に関しては、いつもよりは期間あけたんですけど。そうとは言っても、短かったんだと思いますね。『わたしは真悟』に決まったのも、突然でしたし…。
Umezz.com:『わたしは真悟』を読んだときに、「舞台化したい!」と思われたんですか?
松枝:ぼくの楳図体験は、けっこう最近なので。もちろん、昔から知っていたし、『14歳』なんかは、リアルタイムに読んでますけど。なんだろうな。そのときは、ちょっと、ぼくにとっては、「わけわからない」って感じがあったんですけど。なんだろう…?連載のときっていうのは、「わけのわからなさ」が、1週間先延ばしになるから、もどかしいんですよね(笑)。だけど、まとまって読むと、ガーッて読めるんで、「わけのわからなさ」がすぐ解消されるので。『14歳』も『わたしは真悟』も文庫化されて読んだときに、「オッ!」と思ったって感じですね。
Umezz.com:まりん役に上野未来さんを起用した理由は?
松枝:理由はいろいろあるんですけど…、ぼくが、好き(笑)。理由はいろいろあるんだけど、それはそうと、アイドルとか女優さんとかいろいろ考えるんですけど、まず、小学生にやらせるわけにはいかないんですよ。やっぱり、芝居をしこむの大変だし。だから、大人がやるしかないっていう前提の元で、大人でありながら、ピュアな心をもってる人っていうのは、ぼくの知ってる中では、ダントツだったんですよね。
Umezz.com:たしかに、嫌いな人にはオファーしないですよね(笑)。
松枝:そりゃそうだ(笑)。でも、いろいろ候補はいたんですけど、ボーイッシュなイメージがあるほうがいいと思ったし。それと、お嬢様って言うイメージももちろんあったんだけど、それは付随的なものなので。より純粋な、「純粋の結晶」っていう感じの子がいいな、と思いましたね。
Umezz.com:実際、上野未来さんといっしょに稽古してみてどうですか?
松枝:いや、もう、バッチリですね。
Umezz.com:ところで、ご自身が小学生のときは、どういう子どもでしたか?『わたしは真悟』みたいに、小学生なのに愛について語ったり、とかそういうのはありましたか?
松枝:「愛について語った」っていうのは、憶えが無いけど(笑)、でも、けっこう「つきあう」とか、そういうのは、6年生になったら、意識してますよね…。あの…、6年生のとき、ランドセルって、しょってました?
Umezz.com:私はしょってましたよ。
松枝:しょってた?ぼくは、4年生くらいまでしか、しょってなかったような気が…。
Umezz.com:6年生のときは、何をしょっていらっしゃいました?
松枝:しょってなかった。肩掛けカバンか、ナップザックだったような気がするなぁ。
Umezz.com:そうだったんですか。じゃあ、夏休みが終わったら、大人になってたタイプですか?
松枝:「大人になった気分」は、かなり早かった。みんなのことを「子どもだな」と思ってたし(笑)。
Umezz.com:早熟だったんですね。
松枝:「早熟」っていうのか、わかんないけど(笑)。なんだろうなぁ。「大人になりたい」って別に思わなかったけど、「大人になるナ」って思ったし。でも、純粋でありたい、とは思った。大人みたいに汚くはなりたくない、とは思ってましたね。でも、それはたぶん、ずっと続いていて、今でも「大人になりたくない」っていうのはあるかもしれませんね。
Umezz.com:それは楳図かずおとも近いですね(笑)。
松枝:てゆーか、あの本読んで感動した人って、みんなそうじゃないかなって思いますけどね(笑)。
Umezz.com:ところで、楳図かずおと実際に会ってみてどうですか?
松枝:「元気な人」、「意志の強い人」。あと、「やさしくて、こわい人」。「創作に関しては、厳しい人」とだと思いましたね。
Umezz.com:楳図かずおに、また漫画を描きはじめてほしいと思いますか?
松枝:どちらかというと、描いてもらいたいけど、漫画に限らず、いろいろな意味で、ぼくらを刺激する存在であってほしいって思うので。彼のもってるものを浴びられるならば、漫画に限らない形でいいと思うので。そのひとつに、この舞台がなってくれればな、と思います。
Umezz.com:それでは、漫画『わたしは真悟』のファンに向けて、一言お願いします。
松枝:「(漫画の)あれを(舞台では)どうするんだ?」っていうところを、「あ、こうするんだ!」とか「え!?」とか、いろいろあると思うんですけど、ぼくは、基本的には、あのいっぱいの情報を2文字で伝えなきゃいけないとしたら「アイ」ってことだと思うので。あとはもう、いろいろなバリエーションの表現を、そこは、広い心で見ていただいて(笑)。で、もう、「本質である『アイ』っていう2文字を忘れてないな」っていう部分があれば、及第点をつけていただけるんではないかと。
Umezz.com:なるほど。どうもありがとうございました。

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