
楳図:ビチグソロックでいちにち~♪
高島:レコードになる前に、漫画の中で、歌詞として、歌ってますよね。
楳図:はい、歌ってたんです。
高島:もう、すでにそのときに、楳図先生の中では、曲まで出来上がってたそうですね。
楳図:そうです。だいたい、セリフっていうのは、言葉自体がもうメロディーを持ってますからね。だから、もう、ビチグソロック描きながら、絵柄からしてほうき持ってロックンロールやってますからね。もうロックンロールしか…。
高島:すごく激しくやってる絵でしたよね?
楳図:激しくやってるんですよ(笑)。ちょっと出来上がった曲は、テンポがのろい…。誰でもそうだと思うんですけど、自分のテンポを持ってると思うんですよ。
高島:はい。
楳図:それが、ちょっとね…。やや、ゆるい感じ。そこが、ちょっと気に入らないかなーって。
高島:まぁ、今だから言える話…(笑)。
楳図:今だから言える話(笑)。やってる最中だったら、「それならもうやめてしまえーっ!」って言われて降ろされたら大変ですからね(笑)。
高島:…ということで、出来上がったものは、なかなか先生の歌も快調な感じでしたけども。この中に入ってる「パパ&ママROCK」なんかは、1度、映画のまことちゃんのシングルのB面に…。まぁ、今、「B面」って言わないですよね、10代の方とかはね(笑)。カップリング。
楳図:カップリング。
高島:ええ。カップリングで入ってたんですけども、それから、時を越えて、『木村の兄さん』の時に、もう1回リメイクをしてらっしゃいますよね?

高島:それが、先生の原作のイメージに近いところ?
楳図:そうですね。ただ、あれは3番目が抜けてるのがちょっと悔しいですよね。(観客に向けて)内容わかります?「パパ&ママROCK」。
高島:みなさんCD買われてますからね。
楳図:そうですね。
高島:3コーラスあったんですよね?
楳図:3コーラスで、ちょっと、お父さんもお母さんも、馬鹿にしている歌なんですよ、子供からしたら。だけど、あの、自分のお母さんとお父さんのよいとことって…って、よいとこじゃないんですけど(笑)……あの、チビデブ……忘れちゃった(笑)。そういう、ぼくがいるよって。そこが無いと、単なる悪口に終わっちゃってイヤだなぁ、と。はい。
高島:ええ。そういう歌の中に先生の優しさみたいなものもあったりしますよね。
楳図:そうですよね!!……って力んだりして(笑)。だいたいこわいものばっかり描いてるものですから、知らない人はこわい人だと思っちゃう。だから“優しさ”強調しといてくださいっ!!(笑)
高島:先生は、作曲されるときっていうのは、どういう感じでこういうものを…?まぁすでに頭の中にイメージができてるっていうものあると思うんですが、デモテープなんかもおつくりになられるんですか?
楳図:ええ。デモテープ、つくりますね、はい。どのようにって言いますか…。やはり、曲って、ふつうの曲よりは、どこか特徴があって、「あ、これは面白いぞ」と思わなきゃいけないでしょ?だから、ときどき思いついて、「あ、このメロディーライン面白いな」と思うと、ピアノでそれを、こう、おさらいして。で、あの、キーボード押さえて楽譜に書くっていうのを…。そういうことをやるんですけどもね。ただ、あの、たくさんの歌つくるときはそんな悠長なことやってられませんので、もう、一生懸命、無理矢理考えます(笑)。
高島:デモテープも、ピアノ弾きながら録って行って、歌う感じですか?
楳図:えー、録るときですか?録るときはですね、まず、楽譜っていうか、譜面つくりまして、で、それを見て弾いて。ぼく、ホント言って、そんなにうまくないんですよ、楽器は。
高島:そうなんですか?
楳図:だけど、何度も練習すればできるって、そういうタイプなんです。しょっちゅうやってるもんじゃないもんで。だしぬけに譜面見てすぐパッとはできないんですけど。
高島:はい。
楳図:だけど、いったん頭に入ると大丈夫なので。表現力はすごくあるものですから(笑)。
高島:はい。
楳図:まぁ、まずは楽譜を見なきゃちょっと心もとないでしょ?で、その楽譜のところにラジカセを載せまして、一応その楽譜はあらまし覚えて、で、あの、弾きながら歌うんです。そいで、ラジカセに録っちゃう。
高島:はい。

高島:はい。
楳図:やはり、「『ビチグソロック』のレコードを出すから」っていうお話をいただいたときに…まぁ、作詞・作曲はぼくがやるというお話だったんですが、“歌う”ってところは入ってなかったんですよ。
高島:あ、そうだったんですか。
楳図:作詞して作曲して、それで、さっき言ったように、ラジカセをピアノの譜面台に載せて、それで、ビチグソロック弾きながら歌って。で、テープに録りました。で、それ、デモテープですよね。で、コロンビアレコードに持って行って、「こんな曲です」って楽譜と歌詞を渡しました。そこから、「じゃぁ、誰に歌わそうか?」って。ぼくは「くそ~、ぼくという者がいるにもかかわらず…」って内心思いながら(笑)、それは顔には全然出さずに。
高島:ええ(笑)。
楳図:今、“クリケッツ”っていう、子供のロックバンドがいるから、あれか、もしくは…“ダウンタウン・ブギウギ・バンド”、わかりますよね?
高島:ええ。宇崎竜童さんとか。
楳図:宇崎竜童さんとか。ヨコスカヨコハマ~♪っていうやつのね(笑)。その“ダウンタウン・ブギウギ・バンド”に歌ってもらおうってことだったんですが、交渉すると、なんか事務所の関係でうまくいかなくて。で、部長さんに、「じゃ、楳図さんが歌いなさい」っておっしゃっていただいて。「ヤッター!!」と思いました(笑)。それが、きっかけなんですけども。
高島:そこで、コロムビアレコードのほうからも、いくつか歌を出してっていうのがありましたけども。
楳図:そうですねー。だけど、その前にも、ぼくコロムビアのほうで仕事してるんですよ。
高島:はい。アニメの主題歌…
楳図:アニメの。『ペペロの冒険』とかね。
高島:はい。
楳図:詞書いてるんですよね。だから、もう…
高島:おつきあいは…
楳図:おつきあいというか…。顔はもう知られていたと思うんですけど(笑)。
高島:むかし、そういう「ペペロの冒険」なんか、作詞で「楳図かずお」っていう名前があって、恐怖漫画とか描いてらっしゃる楳図先生と同一人物かっていう疑問が、すごくあったんですよね、子供の頃(笑)。
楳図:そうですか?
高島:いや、でも、そういう名前ってなかなか無い名前ですけどもね(笑)。
楳図:そうですね。あの、話飛びますけど、最近起こったある事件なんですけど、そのニュースで、テレビに出てる校長先生が「楳田」っていうんですよ。全然関係ない話なんですけどね(笑)。だけど、その、「楳」がぼくと同じで、「田」は、まぁ、田んぼの「田」ですけど。「楳」にふりがなで「うめ」ってつけてるんですよ。それくらい、やっぱり難しい名前なんですよね(笑)。
高島:ちょっと子供には読めないですよね。
楳図:大人だって読めないですよ!だって高校のときも中学のときもそうだけど、出席とるときに、最初「アダチ君」「はい」「イノウエ君」「はい」とか言って。で、「次はぼくだな」と思ったら、先生が「ウッ…」って詰まるんですよ(笑)。
高島:先生も困っちゃんったんだ(笑)。
楳図:来る前に、自分のクラスの生徒の名前くらいちゃんと調べておけと思うんですけど、どうもそうではないらしくって(笑)。「ウッ…」とか言うので、「ウメズです…」って言ったりして(笑)。
