グワシ

◆グワシの歴史◆

楳図かずおとグワシ


楳図かずおがテレビ出演時にグワシハンド(=図1)を掲げて「グワーシ!!」とやっている姿はおなじみです。ライヴや講演会等の会場でも楳図が観客にグワシをやらせることは定番となっています。楳図かずおを「グワシのおじさん」と呼称するNHKアナウンサーもいます。城島後楽園ゆうえんちの楳図人形は365日24時間グワシをし続けています。楳図ファン同士が顔を合わせれば、「グワシができるか」という話題は避けられません。そのくらい、楳図といえばグワシなのです!!そんなわけで、ここでは、グワシの歴史を紐解きつつ、多彩なグワシワールドに触れてみましょう。

楳図プロダクションの壁にかけられたグワシハンド

【図1】吉祥寺の楳図プロダクションの壁にかけられたグワシハンド。これは、自分自身の手ではグワシができない楳図が開発した紙製のグワシです。「正式名称?あぁ、ぼくは言わないんだけど、みなさん『グワシハンド』って言ってます。道歩いてると、近所のおばさんが、そう言ってました。近所のおばさんもそう言うくらいだから、みんな言ってるんじゃないでしょうか(笑)。」(楳図かずお・談)

グワシの誕生


グワシ」は『まことちゃん』から生まれた指サインです。語源は、手でものをつかむときの擬態語だといわれています。一般には中指と小指を曲げるサインとして知られていますが、初代は中指を立てるというものでした。(=図2)
『まことちゃん』読者の間では中指を立てる初代グワシが盛り上がりつつありましたが、ニューヨーク在住のSHIGEKI・TANABE氏からの手紙で「そのサインは『パ~ロ~ン!』とか『アホ!』とか『死ね!』とかいう恐ろしい意味だ」ということを知った楳図は、「ほんとかいの~ わししらんかっとったんえ~」と尻餅をつき、アメリカでは絶対にこのサインをしてはならないと注意を喚起したのでした。(=図3)
初代グワシを披露する沢田一家
【図2】気合の入った初代グワシを披露する沢田一家。まことだけはエグエグしています。
カルチャーショックを受けるKAZZ
【図3】カルチャーショックを受けるKAZZ。手の平ではなく甲の方を見せると、さらに危険でしょう。

二代目グワシ


それを受けて石川県山代温泉の細川昭司氏が提案したのが、中指と小指を曲げるサインでした。(=図4)現在、一般に「グワシ」といえば、このサインを意味します。

細川昭司氏のグワシと悔しがるKAZZ

【図4】「おれはこんなグワシができるのだムハハハハ」と、自信たっぷりな細川昭司氏。

進化するグワシ


グワシは『まことちゃん』人気の要となり、日本中で爆発的に流行しました。それと共に「足でグワシができる」(=図5)「体中でグワシができる」(=図6)等と言う読者も現れました。サバラ、SABA GWASHILA等も含め、読者は楳図かずおといっしょに「いろんなグワシ」を考え出すことに熱狂しました。(=図7)中指を立てる初代グワシが中指と小指を折る2代目グワシに取って代わられ、また、全国的にグワシのアレンジャーが発生する状況は、グワシのバリエーションを生みましたが、同時にそれは「グワシとは何か」がわかり難くなるという事態を招いたのでした。
足でグワシ
【図5】「ワシは足でグワシがでける!」と豪語するSHIGEKI・TANABE氏は初代グワシの危険性を指摘した功労者でもあります。
体中でグワシ
【図6】「オレは体じゅうグワシができる!」小野寺直哉氏の大技は中国雑技団並です。手も足もグワシになっている点に注目。
グワシ戦闘機
【図7】「今、いろんなグワシがはやっているけど これがいちばんカッコイイのら その名をグワシ戦闘機!!」と満足げな中川康司氏。

グワシ免許証


そんな中、混迷するグワシ界に新たな秩序をもたらしたのが、福島県会津若松市の斉藤周一氏(=図8)でした。斎藤氏は「グワシ免許書」と称し、指サイン能力に級と段を設けることを提案したのです。これは指サインを、すべての指を曲げて拳をつくる四級(=図9)、親指と小指を立てる三級(=図10)、中指を立てる二級(=図11)、人差指と薬指を曲げる一級(=図12)、薬指を立てる初段(=図13)、親指と薬指を立てる二段(=図14)、小指と中指を曲げる免許皆伝(=図15)の七階級に分けるというものでした。このように、一口にグワシと言っても、いろいろな種類が存在するのです。


グワシ免許書の開発者、斎藤周一氏
【図8】グワシ免許書の開発者、斎藤周一氏。筋肉質な腕からは、いかにもダイナミックなグワシが繰り出されそうです。
四級グワシ
【図9】四級グワシ。いわゆるグー。
三級グワシ
【図10】三級グワシ。耳に当てれば電話のジェスチャーにもなります。
二級グワシ
【図11】二級グワシ。いわゆる初代グワシ。
一級グワシ
【図12】一級グワシ。いわゆるグワシ戦闘機。
【図13】初段グワシ。二級グワシと見間違えやすいので、やっぱりアメリカではやらない方が賢明でしょう。
【図14】二段グワシ。他指の力を借りず小指を曲げることができるか否かが、グワシの成功・不成功を決めます。
免許皆伝グワシ
【図15】免許皆伝グワシ。一番難しいのは初段グワシだという説もあります。
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グワシ名言集